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浙江省瑞安市の古樹村に住む周万順は貧しい生活から抜け出すために、娘の阿雨をイタリアに留学させるべく、娘の叔父の阿斌に彼女を託す。さらに留学費を捻出するために家を売り、妻の趙銀花・息子の麦狗と共に都市部の温州へ行く。温州へ行く道中、周万順は趙冠球を助けて知り合いになり、温州の趙冠球の自宅に向かう。
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温州に到着した周万順は廃品回収を始め、趙冠球宅の庭小屋に住ませてもらう。さらに温州で知り合った社長の林四林に靴売りを任せてもらうが、イタリア行きの機会を妹の阿雨に奪われた麦狗は不満ばかり口にする。一方、阿斌は商売のために戦争中のザイールに直行し、阿雨をイタリアにいる友人のバルのもとへ向かわせる。
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靴売りで散々恥をかかされた麦狗は家出してしまう。周万順は靴を売り切り、林四林は彼を“営業課長”に昇進させる。周万順は意気揚々と杭州へ旅立つが、住み込み先の寮にいたのは“営業課長”ばかりだった。古樹村の阿雨の教師だった四眼ともここで再会する。万順にイタリアへ無理やり行かされた阿雨は現地の学校へ通うが、ホームシックに陥る。
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阿雨はイタリア語が上達するが、阿斌がザイールに行ったまま音信不通になったため、私立校の学費が払えなくなり、プラートにあるバルのレストランで働くことになる。１人で温州に残った銀花は蘇州の叢工場長と知り合い、新製品のボタンを仕入れて温州の市場で売り始める。杭州で失敗した周万順は四眼と共に上海へ向かう。
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周万順は温州の林四林から靴を仕入れ、上海の靴工場長・朱濾生に売って好スタートを切る。家出した麦狗は東北でメガネの商売をしていた。阿雨はバルの息子・デイビッドにいじめられ、不法労働摘発に怯えながらも、調理師の胡文躍に支えられ貯蓄もでき始めた。阿斌はかつてバルを事故から救うが、事故で母親を失ったデイビッドは問題児になる。
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朱濾生の靴販売は絶好調で、周万順は林四林から更に大量の靴を仕入れるが、商標などを一切つけなくていいと周万順が要求したため林四林に怪しまれる。銀花はボタンの商売で数々の困難を乗り越えて一財産を築くが、麦狗と再び音信不通になる。阿雨は寒空の下、倒れていた旅芸人の老人を助ける。
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中国の社会全体で経済活動が厳しく取り締まられる中、大儲けした趙冠球にも捜査の手が及び、周万順は趙冠球を逃がした疑いで投獄される。こうした中、阿雨の手紙がイタリアから古樹村経由で温州にいる銀花に届く。阿雨は母や兄を恋しがって沈みこみ、旅芸人に励まされるが、またも不法労働で警官に追われる。
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危篤状態に陥ったデイビッドを阿雨は助け、２人は仲良くなる。温州から届いた周万順の手紙を阿雨は破り捨て、カセットに録音された銀花の肉声に涙する。料理の才能が開花した阿雨は胡文躍にアドバイスし、バルのレストランはさらに繁盛する。阿雨は自分と同じようにイタリアに来ている中国人の子供・林玉琪たちに出会う。
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イタリアでは、阿雨を励まし続けた旅芸人が他界する。…時はたち、1984年、中国では儲けることを悪とする風潮が変わり、釈放された周万順は四眼、棠梨頭と３人で靴工場を立ち上げ、銀花もボタンの商売を再開する。万順は品質よりも低コスト、デザイン性、種類の多さを重視し、順調なスタートを切る。
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靴の売れ行きは好調で、周万順は年末に配当を出すが、集団名義の企業だったため、配当は国家財産の横領と見なされて懲役８年に処される。当時の中国は民営企業が認められておらず、たとえ個人の出資でも企業の財産は国の財産と見なされ、個人への分配は経費などの形式で行われていた。その後の1988年に、法改正で民営が認められる。
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法改正で周万順は釈放となるが、靴の品質軽視がたたって信用を失い、工場は倒産する。銀花がボタンを仕入れていた工場が民営化の波で傾き、銀花はその工場を請け負う。成長した阿雨は中国人の仲間たちと廃材を再利用して稼ぐが、不法就労で林玉琪が強制送還になり責任を感じる。阿雨はその後、プラートからローマへの旅立ちを決意する。
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倒産した工場の家賃が払えず、周万順は東北にいる麦狗を訪ねる。麦狗はメガネ店の社長として成功しており、家賃以上の金額を万順に渡す。温州に戻る道中、万順はお金を盗まれて困っていた人を善意で助けるが、その人は陝北の地質調査局主任だった。ボタン事業拡大のため、銀花はフランスを視察して阿雨にも会うことにする。
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イタリアの各地を転々とした後、フランスのパリで学校に通いながら宅配で稼いでいた阿雨は、フランスを訪れた銀花と再会する。銀花は服飾店や道行く人々が着ている服のボタンを手当たり次第に撮影するが、版権やプライバシーの侵害で一時警察に拘束される。周万順は地質調査局主任から石油開発の投資話を持ち掛けられ、四眼と共に陝北に行く。
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陝北の油田に投資するため、周万順はフランスから銀花を呼び戻し、再度東北を訪ねるが、周万順が原因で麦狗はメガネ店を失い、没落していた。阿雨は万順を許せずにいたが、帰国する銀花に父親用の髭剃りを渡す。その後、阿雨は宅配の提携先の不祥事が原因で様々な不運に見舞われ、家を追い出されて大学を退学処分となり、貯蓄も失う。
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油田の投資話を聞いた麦狗は、万順に金を渡す。マルセイユに移住した阿雨は林玉琪と再会を果たす。阿雨は温州人の飲食店で働き、店主・阿芸の従弟・黄志雄を紹介される。志雄は古樹村の幼馴染だった。２人は急接近するが、志雄が戦争中のイラクに兵士として向かうことになり、別れを惜しむ２人は抱擁を交わす。
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阿雨の能力を見込んだ阿芸夫妻は、現地の温州人と共に彼女に出資し、阿雨は飲食店を開業する。しかしフランス軍の温州人兵士が負傷した情報を得た阿雨は、店を林玉琪と阿芸夫妻に託し、１人イラクの戦場へ向かう。道中で様々な困難を乗り越えた阿雨は、遂にクウェートの駐屯地で志雄と合流する。
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志雄はフランスに生還して阿雨と結婚するが、過酷な戦争の後遺症で酒に依存し、酔うと暴行をはたらいた。医師は精神病院を勧めたが、阿雨は自分で面倒を見る決心をする。周万順は油田投資のため朱濾生から10万元を借りる。麦狗はロシアへ渡り、フランス行きを目指して仕事を探す。
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阿雨はイラクの戦場で知り合ったレオンと再会し、その後レオンは阿雨をサポートする。阿雨は店でアルコールを扱うのをやめ、客足は遠のくが、それでも志雄は酒を調達しては問題を起こした。阿雨を傷つけまいと志雄は姿をくらますが、阿雨の妊娠が発覚する。麦狗はフランスへ不法入国して阿雨に会うが、中国へ強制送還となる。
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周万順は各方面から資金を工面し、陝北の大窯村で石油の採掘を開始する。銀花は工場を抵当に入れて120万元を確保し、万順と合流する。麦狗も万順と合流し、阿雨から預かったお金を万順に渡す。麦狗は採掘の場所が悪いと訴えるが、万順は聞く耳を持たない。村の八爺は墓の付近を掘る万順に不快感を示す。村の穆書記の娘・禾禾は麦狗に好意を抱く。
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運よく石油を掘り当てた周万順は、油脈から遠く場所が悪いという麦狗の忠告も聞かずに、銀花に工場と自宅を売って事業拡張資金を作らせる。パリへ行き、身寄りのない阿雨にレオンは優しく接するが、レオンの交際相手のオデットは不快感を示す。阿雨は流産した後、志雄がコルシカ島にいるとレオンから聞き、会いに行く。
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コルシカ島で阿雨は志雄と再会するが、志雄はもう自分を探さないように告げ、また姿をくらます。途方に暮れる阿雨に、レオンは仕事を紹介する。多忙で礼を欠く周万順に対し、大窯村の穆書記の不満は徐々に募っていた。穆書記が万順の２号油井掘削計画を八爺に告げると、深夜、万順宅に石が投げ込まれる。
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油井拡張に住民が反対し、周万順は県と穆書記に金を積んで解決するが、２号油井では石油が出ず、３号油井でも失敗する。さらに頼みの綱の１号油井から出ていた石油も止まってしまい、李隊長に採掘費を滞納していた万順は途方に暮れる。レオンに紹介された仕事でオデットの同僚になった阿雨は、デザイナーのカルドアと知り合う。
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カルドアに能力を見込まれた阿雨はデザイナーに抜てきされ、オデットに恋でも仕事でも敵視される。林玉琪と共に服を売っていた阿雨はデザイナーの仕事に違和感を抱き、自分は販売向きだとカルドアに率直に打ち明け、オデットとも打ち解け合う。周万順は採掘費の取り立てに苦しむも、李隊長は義理堅く、時に優しさも見せた。
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周万順は温州に戻り、採掘費の返済と次の油井開発に向けて高金利で金を借りる。大窯村に残った麦狗は、斎先生に文才を認められて村の学校で臨時教師を務めることになり、禾禾は強引に麦狗のクラスの生徒になる。全財産でイタリアからブランド服を仕入れた阿雨だったが、服を差し押さえられたため訴訟を起こす。
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オデットと別れ、中国語を学んだレオンは弁護士として阿雨の服を取り戻す。阿雨は林玉琪とプラートに戻って起業しようと考える。周万順は掘削隊の隗隊長に何隊長を紹介され、４号油井に着工する。穆書記は娘と麦狗の縁談を望んで春節の食事に招き、酔った麦狗は禾禾と関係を持つが、酔いが醒めた麦狗は禾禾に冷たく接する。
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レオンの実家に招かれた阿雨は、渡欧当初の最も辛かった時期に励ましてくれた旅芸人がレオンの祖父だったことを知るが、レオンの求婚を断ってイタリアのプラートに戻る。四号油井から石油が出て、周万順は李隊長に採掘費を返済するが、李隊長はただならぬ事情を抱えていた。その後、四号油井の石油が止まる。
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金を工面した周万順は隗隊長と共に靖辺へ行き、五号油井の掘削を始める。穆書記は禾禾が“妊娠した”と麦狗に伝える。責任を感じた麦狗は、徐々に大窯村での穏やかな日々に憧れ始めるが、周万順は断固反対する。それでも穆書記は強引に結婚させ、麦狗を婿入りさせようとする。見かねた周万順は結婚式前夜に麦狗を誘拐する。
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結婚を許さないなら崖から飛び降りる覚悟を麦狗が見せると、周万順はやむなく同意する。プラートではバルと胡文躍の立場が逆転し、胡文躍は複数の飲食店を展開してバルを雇っていた。他の温州人も躍進著しく、プラート人は温州人を警戒するようになり、現地のアパレル企業を買収した阿雨も不法雇用と盗作で訴えられ窮地に陥る。
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周万順に石油掘削を手伝うよう迫られ、穆書記にも強引に教師をやめさせられた麦狗は自らの意思が尊重されずに苦しむ。そんな麦狗を見かねた禾禾は“妊娠は嘘だ”と伝え、麦狗は責任から解放されて１人旅立つ。訴えられた阿雨を助けにレオンがプラートを訪れ、阿雨は盗作について法廷で反論する。
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法廷で勝訴した阿雨は、彼女を盗作で訴えたデザイナーのオノレと契約を試みる。オノレに訴訟をけしかけたセザールも彼との契約を望むが、オノレは阿雨との契約を選択する。地元で温州人が敵視されている状況を改善しようと、阿雨はイタリア人も雇用する。陝北では五号油井の掘削が失敗し、周万順は途方に暮れる。
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レオンから黄志雄の所在を聞いた阿雨は、修道院で心穏やかに過ごす黄志雄の姿を見て別れを決意する。周万順についていけなくなった銀花は温州に戻るが、自宅はすでに売られていた。何度も阿雨を陥れてきたセザールは、和解を持ちかけて大手業者との橋渡しをするが、業者の大量発注に阿雨たちが応えると返品されてしまう。
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和解も大量発注もセザールの罠だった。大量発注の３倍の違約金を払わされた阿雨の会社は倒産、長年苦楽を共にしてきた林玉琪も命を落とす。阿雨はセザールへの復讐を誓い、配達員から再スタートする。銀花は周万順に離婚を切り出して温州に戻り、かつての恩人・叢に工場長をやらないかと誘われる。
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４つの油井で失敗した四眼が自殺し、物乞いをしていた周万順も後を追おうとする。メガネ店の経営者時代の婚約者の紹介で、麦狗は中露の辺境で違法取引に関わって重傷を負い、大窯村へ搬送され、出産を終えていた禾禾と再会する。阿雨はセザールが契約していた倉庫を借りるべく、レオンと共に動く。
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阿雨は広大な倉庫をメーカーの大規模な直販所にしようとしていた。その構想は現地の温州人の支持を得たが、阿雨が倉庫側と結託して賃料を釣り上げ、自分を陥れようとしていると疑ったセザールは倉庫と大金を失う。周万順と離婚した銀花は、妻に先立たれた叢に求婚されて戸惑う。
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周万順が売ってしまった家を、叢が銀花のために買い戻し、銀花は叢を食事に招いて感謝する。その場に現れた万順は、四眼の死と麦狗の近況を銀花に伝えて立ち去る。プラートではセザールに対する阿雨の復讐が本格化し、セザールは現地のイタリア人をまとめて温州人を排斥する運動を始め、市長に訴える。
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市議会で誠意を伝えた阿雨は、現地イタリア人の理解を得る。窮地に追い込まれたセザールに阿雨は協力を呼びかけ、林玉琪の墓に献花したセザールは阿雨と和解する。周万順は全てを賭けて広大な土地を買ったが、５箇所で採掘に失敗し、止む無く土地を売却しようとしていた。そんな周万順に思わぬ相手から望外の資金が届く。
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